西鉄佐賀新線と福佐道路の建設を!

 佐賀県佐賀市に「億ション」ができ、売れ行きも順調という、俄かには信じがたいニュースが飛び込んできた。最上階の1億円を超える2つの居室は既に完売し、残りの部屋も最低2900万円からという、立地の良さを勘案しても周辺の相場と比較して桁違いに高級なマンションが実際に売れているという事実。その事実の背景には、福岡の目覚ましい発展に、福岡という街の地理的制約が追いつかず、やや離れた佐賀や北九州などの開発も進んでいるという事情があるようだ。

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 さて、実際に福岡市という大都市が手狭になり、佐賀にまで開発の手が伸びているという事実を踏まえるに、佐賀と福岡の行き来をより便利にする必要は十分あると思われる。実際、福岡と佐賀を行き来するにはJR特急と西鉄の高速バスが主要な選択肢として挙げられ、いずれも十分な本数が確保されているわけだが、それでもいずれ追いつかなくなる可能性は十分にあり得る。さらに、これらの移動手段はいずれも脊振山地を迂回して筑紫野・鳥栖を経由するルートをとっており、その点ではどうしても遠回りにならざるを得ないという事情もある。そこで、脊振山地を長大トンネルで貫き、福岡都心と佐賀市を短絡し、最終的には有明海沿いにある佐賀空港へと至る、鉄道と高速道路の新路線を建設することを提案したい。関西圏にお住まいの方々なら、生駒山脈を長大トンネルで突っ切り大阪と奈良の間の距離を縮めた近鉄奈良線と第二阪奈道路を想像していただければ分かりやすいだろう。なお、筆者は土木工事に関しては完全なる素人であり知識も殆ど無いので、建設費云々については考察せず、単純にルートを提案するのみに留める。

 

 福岡市と佐賀市の間にそびえる脊振山地には、現状三瀬トンネル(三瀬峠/国道263号線)と東脊振トンネル(坂本峠/国道385号線)という有料道路があるわけだが、いずれも急峻な峠道を迂回するためのトンネル部分だけが有料道路として供用されており、他の高速道路(高規格道路)には接続していない。このうち、どちらかを改良することで福岡と佐賀を短絡する高速道路として開通させることを検討したい。また、鉄道に関しては現状西九州新幹線の武雄温泉〜新鳥栖間というプロジェクトが横たわっているわけだが、佐賀県としては並行在来線問題を理由にこの整備新幹線の建設を否定的に捉えているという問題もある。ただ、この西九州新幹線佐賀県区間に関しては、一言でいえば福岡以東の直通需要のための路線であり、佐賀県民のための路線ではないというのが全てである。そこで、福岡と佐賀を短絡する新路線を、西鉄の手で開通させることを検討したい。福岡以東の直通需要を担当する新幹線はJRが運営するので、福岡と佐賀の間の通勤を主体とする移動需要を満たすために、西鉄に頑張ってもらおうということである。この2つの計画を同時進行させることを前提として、それぞれのルート選定をする必要がある。

 まず、これらの計画の前提として、脊振山地を突っ切るルートとしては、先程挙げた三瀬峠および坂本峠を通るルートのいずれかに絞られる(そして、必然的にこれら以外のルートは棄却される)ということになる。そして、高速道路と鉄道のそれぞれに関して、そのどちらかがより適切なルートであるかを考える必要がある。その結果、筆者としては鉄道と道路に関して以下のルートを提案したい。

青が鉄道、赤が道路のルート。詳細は下のリンクを参照のこと。

ku-tetsu.net

road.chi-zu.net

 以下、それぞれのルートの選定根拠を述べる。まず、鉄道については、長大トンネルを掘削することを前提になるべく急勾配の少ないルート(すなわち山岳地域をできるだけ短く済ませるルート)とする必要があることと、また(一応博多南駅が存在するものの)実質的な鉄道空白地帯となっている那珂川市に鉄道アクセスを供給することを想定して、国道385号に並行するようなルートとした。また、福岡都心から那珂川市を経由し脊振山地を突っ切った先は、吉野ヶ里町神埼市を経由しつつ、佐賀城公園の近くを通る形で佐賀市中心部に入り、そこから更に南にある佐賀空港へ線路を延ばすことにする。福岡から佐賀市までは複線で、佐賀市中心部から先は単線という想定で、西鉄福岡駅から西鉄佐賀駅佐賀空港駅まで特別料金不要の特急を走らせるというのを目標にしたい。また、特急を補完する役割を担い、また一部区間で各駅停車も補完する急行の設定も行い、各駅停車は西鉄那珂川以北で10分間隔、那珂川以南で20〜30分間隔を確保したい。

 一方、道路については、既存の高規格道路である福岡都市高速道路三瀬トンネル有料道路長崎自動車道および、事業計画中の高規格道路である有明海沿岸道路との接続を考慮したうえで、高速道路の建設に支障のないルート(多少の急勾配があっても長大トンネルを掘らずに済むルート)ということで国道263号線に沿うルートとした。福岡都心から野芥JCTまでを福岡都市高速道路西新線(7号線)とし、野芥JCTから佐賀大和ICまでを福佐道路、佐賀大和ICから佐賀空港ICまでを佐賀空港道路としたい。道路規格については、少なくとも佐賀大和ICまでは絶対に4車線とし、佐賀空港道路についても4車線とするのが望ましいだろう。(暫定2車線というチャチな規格など絶対に認めません)

 こんな感じで、ほとんどオタクの妄想みたいな路線を提案してしまったわけだが、今回の記事を書くにあたって福岡・佐賀の地形を調べていると、思った以上に脊振山地は幅が広く、また福岡平野は狭いということに気付かされた。特に、福岡平野の狭さというのはそのまま、福岡は大量の清水を得るのが難しい場所であるということとも同値である。何しろ、過去には幾度となく渇水に悩まされ、節水コマの普及や筑後大堰の建設、海水淡水化プラントの利用をしてまで、きれいな真水を得てそれを大事に使う努力を惜しまない歴史を持つ150万都市である*1。そして、それ故に佐賀や北九州の活用は福岡という世界に開かれた大都市にとって喫緊の課題であると言えるだろう。

 最後におまけとして、今回の記事のメインテーマからはやや離れるが、北九州空港への鉄道アクセス路線としてJR北九州空港線を建設することを提言したい。こちらも、北九州空港へのアクセスのみならず、北九州空港の手前にある工業団地への通勤アクセスも兼ねた路線として、以下のように整備することを検討したい。佐賀・北九州にある空港を活用することで、福岡という世界都市のさらなる飛躍を願い、これにて筆を擱くことにする。

*1:この辺りの詳しい事情は筆者も編集に携わった松明創研の同人誌「開国しなさいニッポン3〜海と自由を求めて〜」をご参照のこと。